大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

「日雇い派遣」の規制が強化されます

派遣法に基づく事業停止命令

大手日雇い派遣の企業が、偽装請負の状態で、都内の港湾地区に派遣した男性を労働者派遣法で禁止されている港湾での荷物の積み下ろし作業に従事させていたことが判明しました。同社が労働者派遣法で禁止されている港湾業への派遣などの行為を繰り返していたとして、厚生労働省は、労働者派遣法に基づく事業停止命令を出しました。

 

料金や条件明示を徹底

厚生労働省は、「労働者保護が不十分」との指摘が出ている日雇い派遣制度を2008年度中にも見直し、規制を強化する方針を固めました。派遣先企業が支払う料金を公開させることにより派遣会社が極端に多額の手数料を取ることを防止し、業務内容など労働条件の事前明示を徹底することが柱です。

日雇い派遣は、派遣会社と1日単位の雇用契約を繰り返し、条件も契約ごとに変わる仕組みで、同省は派遣先企業が支払う料金が公開されれば、労働者が派遣会社に賃金の引上げを要求しやすくなるとみています。また、業務内容が明示されていれば、派遣労働者が過酷な契約を避けることが可能になり、労働条件の改善につながると期待しています。

 

派遣労働の規制緩和は見送り

労働政策審議会は、2007年12月に派遣労働に関する中間報告をまとめ、規制緩和の早期実施の見送りを決めました。派遣労働力を効率的に活用したいという企業や規制改革会議の要望は退けられた形になりました。厚生労働省は規制緩和を盛り込んだ労働者派遣法改正案の2008年の通常国会への提出を断念しましたが、一方で、日雇い派遣は規制を強化する方針を正式に決定しました。

政府は当初、柔軟な働き方を広げるため、規制緩和に前向きでした。規制改革会議などでの議論を踏まえて受け入れ企業が採用前に直接面接する「事前面接」の解禁や、派遣社員を一定期間以上雇うと派遣先企業が直接雇入れを申し出なければならないという「直接雇用義務」の撤廃などの方向を打ち出していました。

働いても生活保護水準以下の収入しか得られない「ワーキング・プア」の問題などが表面化し、「不安定な派遣労働者には規制強化が必要」という労働者側の意見が勢いを増しました。労働者派遣は徐々に規制が緩和されてきましたが、労働者保護のための派遣期間や業種などに制限が残ります。

「規制が逆に派遣の雇用を不安定にしている」との批判もあります。厚生労働省は大学教授ら有識者5〜6人で組織する研究会を立ち上げ議論の打開を目指す考えで、今年はじめに研究会の第1回会合を開き、来夏をメドに報告書をまとめ、労働政策審議会で再度議論する予定です。

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