大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

「最低賃金」時給700円台に突入へ

2008年度の引上げ額の目安は?

原則としてすべての労働者に適用される「最低賃金」。その額は都道府県ごとに決められており、現在の全国平均額は687円です。

2008年度の引上げ額の目安を議論していた中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は、全国平均で時給を15円程度引き上げることを決定しました。この結果、全国平均の最低賃金額は、初めて700円を超えることになる見通しです。

 

都道府県別最低賃金額の引上げと生活保護政策

今回の最低賃金額の引上げに関する議論では、7月に施行された改正最低賃金法の趣旨を、引上げ額にどう反映するかが焦点となりました。同改正法では、生活保護並みの時給を求めています。地域によっては最低賃金が生活保護費を下回り、「働く意欲をそぎかねない」との批判が強かったため、現時点で生じている生活保護との大幅な差を解消することになりました。

地域ごとの引上げ額は、中央最低賃金審議会が定めた目安を受けて、都道府県ごとに正式な金額が決定され、10月中に適用される予定です。これに加えて、最低賃金額が生活保護を下回っている12の都道府県については、生活保護との差を「原則2年(引上げ額が例を見ないほど大幅な場合は3年)」で解消することを求められました。

例えば、生活保護との差が時給80円あるとされる東京都の場合、3年で差を埋めるとすると1年当たり25円超の引上げが必要となるなど、逆転解消のためには前年度以上の大幅な引上げが必要となります。

 

引上げ反対の声も

最低賃金額の大幅な引上げは、低所得者の生活の下支えとなります。しかし、原油や食料の価格高騰の影響などで物価も上昇しているため、消費拡大効果は限定的とみられています。

人件費の増加は中小企業の存続に関わるとして、最低賃金額の大幅引上げに反対する声もあります。最悪の場合は中小企業の倒産を誘発し、かえって中小企業の雇用に悪影響を与えることも懸念されています。生産性向上や価格転嫁が進まなければ、中小・零細企業の雇用には悪影響を与えます。

生活保護との差を解消するため、来年度以降も最低賃金額は2ケタの引上げとなる予定ですが、今後の経済・雇用情勢によっては、方向性が変わる可能性もあるかもしれません。

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