大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

経営承継円滑化法の施行で事業承継がスムーズに

経営のバトンタッチが進めやすくなる

2008年10月1日より、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が施行されました。この法律は文字通り、経営のバトンタッチを円滑に進められるように中小企業をバックアップする主旨で制定されたものです。これにより中小企業の事業承継は、かなり進めやすくなると考えられます。

 

新法の内容は

毎年、中小企業の多くが後継者の不在を理由に廃業し、多くの雇用が失われていると言われています。それらの対策として、後継者が事業を承継しやすくすることが目的です。

内容は大きく3つに分けられます。

(1)遺留分に関する民法の特例

(2)金融支援措置

(3)相続税の課税についての措置

(1)は、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者との合意があることなどを前提に、後継者に生前贈与された自社株式を遺留分の対象から除外し、相続による自社株式の分散を防止できるものです。また、後継者に生前贈与された自社株の評価額をあらかじめ固定し、後継者の努力による株式価値上昇分を遺留分の計算に含めなくてもよくなります。これらは、2009年3月1日からの施行となっています。

(2)は、経営者の死亡等に伴い必要な資金の調達を支援するため、中小企業信用保険法に規定する通常の保証枠とは別に、事業承継資金の借入れを受けることや、低金利での貸付けを受けることができます。

(3)は、相続税の課税について、自社株式の80%を納税猶予するなどの措置が検討されています。(3)については2009年度の改正で創設し、2008年10月1日に遡っての適用が予定されています。

 

企業の存続と雇用の安定化を

当然、適用のためには様々な条件を満たし、経済産業大臣の認定を受けることが必要となります。また、認定の有効期限は5年間で、その間雇用の8割を維持することなどの条件が定められています。

今回の事業承継円滑化法が機能すれば、中小企業の廃業を防ぎ、多くの中小企業労働者の雇用を守ることになります。多くの労働者の雇用を守り、雇用を安定化するという観点において、社会的にも、とても意義のある法律だと言えるのではないでしょうか。

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