大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

職場での「不当な扱い」と企業の責任

募集時の説明と異なる労働条件

「募集時の説明と労働条件が違う」。新聞報道によると、若手社会人の約7割、アルバイト学生の半数が、働くうえでこのような「不当な扱い」を経験したと回答していることが、厚生労働省の調査で明らかになりました。

 

多くの人が「対応何もせず」

勤務先やアルバイト先で受けた不適切な扱いで一番多かったのが、「労働条件が募集時の提示内容と異なる」というもので、社会人の38.4%、学生の21.8%が経験しているそうです。社会人では、「就業規則をいつでも確認できるようになっていない」が28.2%、「労働条件を書面で提示されていない」が22.6%で「残業代が支払われない」も21.3%にのぼり、学生の回答もほぼ同じ項目が上位に並びました。逆に、「不当な扱いの経験がない」と答えたのは、社会人で28.9%、学生の52.6%でした。

このような不当な扱いを受けた際にどのよう対応をしたかを聞いたところ、「同僚に相談した」「転職した、辞めた」といった回答よりも多かったのが、「何もしなかった」という回答で、社会人の41.3%、学生の54.8%を占めました。

 

大きなトラブルになる前に

「何もしなかった」という理由として、社会人・学生ともに「どうせ何も変わらない」「対処するのが面倒」ということが多く挙げられています。その原因として、若い社会人や学生の多くが、労働法規の理解が乏しかったり、理解していてもどうせ改善されないと考えたりするということがあるようです。改善策としては、学校教育や社員研修の中で、労働者の権利と義務を学ぶ機会を与え、キャリア教育を充実させる必要性があると指摘されています。

労働者が不当な扱いを受けていながらそれを放置していたからといって、会社側は安心できません。不当な扱いの中には、「残業代の不払い」「労働条件の相違」「上司による嫌がらせ」「セクハラ」等、経営者側の法律違反・コンプライアンス違反が問われるものが多く見受けられます。残業代不払いやセクハラ問題が、労働者の訴えにより明らかになり、多額の不払い残業代や損害賠償請求などを支払わなければならない状況に追い込まれ、経営が圧迫されている企業も最近ではたびたび見受けられます。

まずは法令順守の目線から職場環境を見直し、正社員・非正社員と雇用形態にかかわらず、誰もが働きやすい職場作りを目指すことが、経営者にとって急務といえるでしょう。

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