大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

導入なるか?「サマータイム制度」

次期臨時国会に提出か

夏の間、時計の針を1時間進める「サマータイム制度」について、導入が議論されています。政府は6月末に決めた、経済財政運営の指針となる「骨太方針2008」に明記し、超党派の「サマータイム制度推進議員連盟」は次期臨時国会への関連法案提出を目指しています。根強い反対論や課題も多く、浮かんでは消えるサマータイム制度について考えてみましょう。

 

サマータイム制度のメリットは?

サマータイム制度は、日照時間が長い夏に時計を1時間進めて、明るい時間を有効に使う制度です。利点としては照明の使用時間を短くできるほか、朝の比較的涼しい時間帯から仕事を始められるため、冷房の使用が減り、省エネ効果が高まり、世界的に関心が高まっている地球温暖化対策としても注目を集めています。1年に2回時計を直す手間も生じますが、これにより省エネ意識を喚起できるという効果も期待できます。

また、明るいうちに仕事が終わって余暇を楽しむ時間が増えれば、消費が拡大する可能性もあり、その経済波及効果にも期待が集まっています。

サマータイム制度は世界で70カ国以上が採用し、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち、導入していないのは日本と韓国、アイスランド(夏が白夜のため導入の必要がない)だけです。

 

労働時間が増えることも

日本でも戦後間もない1948年に、サマータイム制度を取り入れたことがあります。電力供給不足の解消のため、GHQ(連合国軍総司令部)の指示で実施されましたが、「労働時間が増えた」として不評を買い、1951年に終わっています。

制度の導入が再び議論され始めたのは1990年代前半からで、省エネと経済効果を期待する経済界から声が上がりました。しかし、法案提出には至っておらず、「夏前に法案提出の動き→断念」という光景がお決まりのパターンとなっています。

代表的な反対の理由は、労働時間が増すという懸念です。定時退社が定着している職場が少ないため、始業が1時間早まるだけであって、労働時間が増えかねないからです。また、昨今の原油高や食料の物価高で家計や財布のヒモは固くなっており、夕方を余暇にあてられるかどうかは不透明です。早めに家に帰って冷房をつければ、エネルギー消費が増すおそれさえあります。

また、「時計合わせの手間がたいへんである」との見方もあります。掛け時計や腕時計の針を進めるだけでなく、時間調整のためのコンピューターシステムの修正には相当の手間とコストがかかると予想されます。他にも、睡眠障害等への悪影響など健康被害への懸念もあり、導入のためにはこれらの反対論や懸念を押し切れるだけのメリットを実証する必要があるようです。

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