大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

「冠休暇」の活用で有給休暇取得を促進

有給休暇の取得促進を目指して

「プロジェクト休暇」や「アニバーサリー休暇」など、特別な冠をつけた有給休暇制度を設ける企業が目立ちはじめました。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)向上の機運が高まる一方で、高まらない有給休暇の取得率向上のために、各企業で新たな促進策が打ち出されています。

 

国を挙げての取組み

有給休暇の取得率向上は、国も大きな課題として取組みを始めています。内閣府が2007年にまとめたワークライフバランスに関する「行動指針」では、有給休暇取得率を、2012年には60%、2017年には100%にまで引き上げることを目標にしています。 

しかし、国を挙げてワークライフバランス向上への取組みを進めているにもかかわらず、有給休暇取得率は低迷したままです。厚生労働省の調査によると、2006年に企業が社員に与えた有給休暇は年平均17.7日。一方、社員の取得日数は8.3日と、有給休暇取得率は40%台にとどまります。

就業形態の変化によって正社員が減り、1人当たりの仕事が増えたことで、結果的に多くの職場で長時間労働を余儀なくされ、有給休暇が取りにくくなっているとも考えられます。また、同僚との競争や上司の評価を気にして積極的に休まない人も多いようです。

 

「冠休暇」の効果は?

過労死の増加などで社員の健康管理がより問われるようになった今、企業も社員に休みを取らせるために、様々な知恵を絞っています。

ある企業では、「プロジェクト休暇」を導入しました。これは、1つのプロジェクトが終わるたび、最低1日の有給休暇が取れる仕組みです。1つのプロジェクトに対して複数の人間で対応するため、個人の都合で休むのは難しいことから、プロジェクト終了ごとに同僚と調整しながら休むとしています。

また「アニバーサリー休暇」として、自分や家族の記念日に休むことを促進する企業もあります。導入したある企業では、有給休暇取得のための意識が高まることで、仕事を1人で抱え込まずに周囲と情報交換したり、効率的に仕事をする同僚のやり方を参考にしたりと、別の部分でも波及効果が出ているようです。

もっとも、新たな休暇制度を設けていても、休みやすいように人員や仕事を適正化することが重要であり、それなくしては休みたくても休めない現実に変わりはありません。国、企業、そして労働者が一体となった取組みを続けていくことが大切でしょう。

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